利回りの計算方法

 
太陽光発電投資だけでなく、マンション投資や、株式やファンドの投資においても「利回り」という言葉は。常について回ります。この「利回り」という言葉は、投資の成果を測る物差しとして統一された表現の様に聞こえますが、実際には、シーンに応じて使い分けられ、様々は定義があり、計算方法も違ってきます。
実質利回りとか表面利回り、あるいは利率という言葉を耳にしたことがあると思います。

 
今回は、言葉の定義を説明して、太陽光発電所における利回りの計算方法について説明していきたいと思います。

利回りと利率

このセンテンスでは、利回りと利率について、少々細かく解説します。
まず、利回りと利率の前に、利子と利息について。利子は借りた場合に支払うお金のことを言い、利息は貸した場合に得られるお金のことをいいます。しかし、厳密に使分けられていませんので、ここでは、太陽光発電所の1年間の売電金額を利子としておきます。

 
次に利回りですが、利回りとは「投資金額全体に対する1年単位の収益割合のこと」を示します。そして利率は、「その投資対象から毎年受け取る利子の割合のこと」を示します。同じことのように思えますが、実際には違いがありますので、具体的な例をあげて以下に説明します。

 
事例1.
発電所を2000万円で購入し、5年後に1500万円で売却し、
その間の売電収入が年間200万円(利率10%)、5年間で合計1000万円だった場合。
5年間の利子は1000万円で、譲渡損は500万円(1500万円-2000万円)となります。
つまり5年間の収益は、1000万円-500万円=500万円で、1年あたり100万円となります。
1年あたり100万円の収益なので、利回りは 100万円÷2000万円×100=5%となります。
まとめると、利率10%、利回り5%となります。

 
事例2.
発電所を2000万円で購入し、5年後に1800万円で売却し、
その間の売電収入が年間200万円(利率10%)、5年間で合計1000万円だった場合。
5年間の利子は1000万円で、譲渡益は-200万円(1800万円-2000万円)となります。
つまり5年間の収益は、1000万円-200万円=800万円で、1年あたり160万円となります。
1年あたり160万円の収益なので、利回りは 160万円÷2000万円×100=8%となります。
まとめると、利率10%、利回り8%となります。

 

事例3.
発電所を2000万円で購入し、20年間売電し発電所としてのFIT規定の単価で売電できなくなり、
発電所として売却は見込めなくなりました。
その間の売電収入が年間200万円(利率10%)、20年間で合計4000万円だった場合。
20年間の利子は4000万円で、譲渡額0円とすれば譲渡益 -2000万円(0万円-2000万円)となります。
つまり20年間の収益は、4000万円-2000万円=2000万円で、1年あたり100万円となります。
1年あたり100万円の収益なので、利回りは 100万円÷2000万円×100=5%となります。
まとめると、利率10%、利回り5%となります。

 
※実際の計算では、税金やその他の経費なども考慮する必要があります。
この様にその他の経費を考慮せずに算出した利回りを表面利回り(グロス)と呼びます。

 
なお、実際の発電所売買では、ここまで細かな話は出てこないと思います。単純に1年間に得られる売電額÷設備投資額を利回り(表面利回り:グロス)と呼んでいる場合が多いです。そこで、次に表面利回り(グロス)と実質利回り(ネット)について説明します。

 

表面利回りと実質利回り

・表面利回り(グロス)

表面利回りとは、太陽光発電においては、発電所の取得額に対する売電収入の割合いになります。

 
年間の売電収入 ÷ 太陽光発電所取得価格 ×100 = 表面利回り (%)

 
売電収入から諸経費などを減算していませんので、太陽光設備そのものが持っている収益物件としての投資効率を表していると考えられます。
販売されている太陽光発電所の資料の多くは、この表面利回りで案内されています。太陽光発電所の取得価格には、土地代や登記するためのコストなども含めます。

 
・実質利回り(ネット)

実質利回りとは、発電所の取得額に対する、売電収入からその年度にかかった費用を差し引いた営業利益の割合いなります。

 
営業利益(=年間の売電収入―年間の経費) ÷ 太陽光発電所取得価格 ×100 = 実質利回り (%)

 
売電収入から諸経費などを差し引いた営業利益を基準に利回り計算していますので、これがマイナスですと年々キャッシュが持ち出しということになります。太陽光発電所で、実質利回りがマイナスになるようなことはほぼ起こりえないと思いますが、不動産投資の場合ですと多額の固定資産税などが掛かってくる場合で、賃料収入が急激に減ってしまった物件などは起こりえると思います。20年間固定価格で買い取りが決まっている太陽光発電の場合、天候不順・設備の破損などで売電収入が減る場合がありますが、保険でカバーできることも多いため、安心して長期保有できると思います。

1年間に発生するコスト

表面利回りと実質利回りについてご理解いただけたと思いますが、実際に1年間に発生するコストとは、どういったものがあるでしょうか?
一般的に考えられる項目を洗い出してみました。

 
◯メンテナンス費
メンテナンスの内容によって価格幅がありますが、障害発生時の一次対応・下草刈り・パネルの目視チェック・メンテレポートの提出などが基本業務になります。何らかの問題が生じた際は、オプション費用が発生しますが、作業代行してもらえる場合があります。
例えば、下草の伸びが早すぎてパネルにかかってしまい発電効率が悪くなっていたら、臨時で下草刈りをお願いします。
この様に通常業務とは違うことを依頼する場合、その都度のお見積りになりますので、メンテナンスの基本料金にはどの範囲まで含まれているかを、事前に検討しメンテナンス会社さんとよく相談して納得できる内容でご契約されることをお勧めします。

 
◯保険料
主に損害保険ですが、これも内容やオプションによって保険費用に幅があります。
保険の種類も通常の火災保険だけでなく、休業補償がついたタイプや、強風などで飛散したパネルなどが周囲に与えた被害を補償するための損害保険など、様々なバリエーションが用意されています。過剰に保険を掛ける必要はありませんが最低限の保証はしておいた方が安心ですね。

 
◯税金
固定資産税や償却資産税がかかります。土地が賃貸契約の場合は、固定資産税は発生しませんが、設備に対する償却資産税は持ち主に対してかかります。設備の資産価値は、減価償却によって年々下がっていきますので、同様に設備にかかる償却資産税も定期的に見直しされて下がってゆきます。

 
◯電気代
発電所のパワコンやその周辺機器で消費する電気代です。月に数百円程度です。
発電していて、かつ売電しているのに、どうして電気代が発生するのか、最初は疑問に感じると思いますが、全量売電していますので、現地で消費している電気代は別途請求されます。

 
◯通信費
発電状況をモニターする「エコめがね」などがオプションの場合、これの利用料が別途発生する場合があります。

 
◯ローン返済
ローン返済のうち、経費になるのは利息分です。
実際には、元本返済分も視野に入れてキャッシュフローの試算をして、頭金や返済期間を調整をすると思いますが、昨今では十分な利回りのだせる太陽光発電が多いので、全額ローン(フルローン)を組まれるケースも多くなってきています。

 
これらの経費を売電収入から差し引くと、実際にはどの程度の手残り額になるのかが一番の心配点だとおもいます。
そらなびでは、細かいシミュレーションができ、年単位や20年間総額での収入状況を確認していただけますので、ぜひ一度お試しください。

 

そもそも売電金額や新品発電所の利回りはどうやって決まるか?

そらなびなどのポータルサイトに、利回り10%とか9.5%などど掲載されている物件ですが、どうやって利回りが決まっているかお判りでしょうか?

 
利回りを決める要素は、前述の通り、1年間の売電金額と設備の金額の2つの要素です。売電金額が高く、設備が安ければ利回りが上がります。

 
新品発電所の場合、売電実績がないのに利回りが計算できるのは不思議ですよね。新品発電所の発売時には、年間の売電額もシミュレーションによって算出されています。太陽パネルの発電性能や、設置場所の日射量、日照時間などのデータから発電量が計算されます。その結果、年間の売電金額が試算されます。

 
また、設備代金が下がると計算上の利回りは上がりますので、販売会社・設備会社さんは、出来るだけ利回りが多くなるよう、ギリギリのコスト計算をして販売価格を算出しています。立地と発電するパネルの性能・枚数から年間の売電金額が決まりますので、それで年利10%にするには、設備代金を幾らにすべきか?というのが計算できます。販売会社・設備会社さんは、この金額に収まるように開発を進めているわけです。その結果、利回り10.0% とか 12.0 %などのキリの良い数字の発電所が多くなります。

 


まとめ

利回りの計算は、利率と利回りを厳密に考えると複雑になりますが、通常は表面利回りを使って表現されています。太陽光発電の場合、不動産投資における空室リスクというのがありまあせんので、単純に立地・パネル性能・枚数から年間発電量と20年間の予測ができます。実際には、天候の影響などもありますが、概ね予測値と差のない発電がおこなわれます。発電量が概ね確定できれば、期待されている利回りになるように設備代金を決めることになります。過剰な設備にし過ぎると設備代金が上がって利回りが下がりますので、通常はシンプルな設備内容で、キリの良い利回り表示になっていると思います。

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