太陽光発電投資の減価償却について

太陽光発電の「減価償却」とは!?

特に産業用太陽光発電の導入にかかる費用は最低でも数百万円以上はかかり、大規模な設備では数億円単位での投資も珍しくありません。そのため、比較的安い設備のように一括で経費計上するのではなく、法律で定められた耐用年数期間内で分割して計上することを「減価償却」と言います。

 

<Point 1>再生可能エネルギーの良くある“FAQ”を知ろう!

経済産業省資源エネルギー庁では、再生可能エネルギー部分の「省エネ再エネ高度化投資促進税制」について、よくあるFAQを紹介しています。

 

1.省エネ再エネ高度化投資促進税制のうち、再エネ部分はどのような優遇制度ですか?

固定価格買取制度からの自立化や長期安定発電の促進に大きく貢献する再生可能エネルギー設備等を新たに取得等して事業の用に供した場合に、特別償却20%の税制優遇を受けられるものです。

 

2.特別償却とはどのような制度ですか?

「特別償却」とは、政策的な見地から、一定の減価償却資産を取得した場合には、普通償却限度額以上の償却限度額を認めようとする制度です。

 

したがって、特別償却の対象となる資産を取得した企業は、その対象資産について早期に償却することが認められる結果、税務上、課税の繰延べというメリットが生じます。

 

3.省エネ再エネ高度化投資促進税制(再エネ部分)とグリーン投資減税はどこが違いますか?

主な違いは、対象設備と措置内容です。対象設備に関しては、グリーン投資減税では対象としていた太陽光発電設備、風力発電設備について、本税制では対象外となっていますが、定置用蓄電設備や自営線などの付帯的設備が本税制では新たに対象となるなどの違いがあります。

 

措置内容に関しては、グリーン投資減税は取得価額の30%特別償却又は7%税額控除(中小企業者等のみ)のいずれかを選択し税制優遇が受けられる制度でしたが、本税制は特別償却20%のみ適用が可能です。

 

4.対象設備にはどのような設備がありますか?

対象設備は以下のとおりです。各設備にはそれぞれ要件が設定されています。詳しくは「対象設備」のページを参照ください。

 

(対象設備)

中小水力発電設備、地熱発電設備、木質バイオマス発電設備、木質バイオマス熱供給装置、バイオマス利用メタンガス製造装置、風力発電装置専用機械類、定置用蓄電設備、電線路(自営線)

 

5.この制度の適用対象者は誰ですか?

青色申告書を提出する個人及び法人(連結親法人又は当該連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人を含む)です。青色申告を行なう場合は事前に税務署に「青色申告承認申請書」を提出し、青色申告の承認を受けている必要があります。

 

※青色申告制度については、税務署にお問い合わせください。

 

なお、以下に該当する個人及び法人については対象外です。

▷電気事業法第二条第一項第九号に規定する一般送配電事業者

(参考:電気事業法 抜粋)

第二条第一項第九号

一般送配電事業者 一般送配電事業を営むことについて第三条の許可を受けた者をいう。

 

第三条

一般送配電事業を営もうとする者は、経済産業大臣の許可を受けなければならない。

 

▷投資信託及び投資法人に関する法律第二条第十二項に規定する投資法人

(参考:投資信託及び投資法人に関する法律 抜粋)

第二条第十二項

「投資法人」とは、資産を主として特定資産に対する投資として運用することを目的として、この法律に基づき設立された社団をいう。

 

匿名組合契約等に基づいて出資を受ける者(対象設備を匿名組合契約等の目的である事業の用に供する者に限る。)

 

6.太陽光発電設備を導入した場合は対象になりますか?

対象になりません。ただし、発電出力が10kW以上の太陽光発電設備に接続される「定置用蓄電設備」、「電線路(自営線)」に係る取得価格については対象となります。

 

なお、10kW未満の太陽光発電設備に接続される「定置用蓄電設備」、「電線路(自営線)」については対象とはなりません。

 

7.対象設備を取得した場合の要件確認スキームはどのようなものですか?

「地熱発電設備」、「木質バイオマス発電設備」、「木質バイオマス熱供給装置」については要件確認スキームを用意していますが、税務上、確認書の確定申告への添付や保存が要件とはされていません。確定申告書の該当する明細書に必要事項を記入し税務署に申告してください。

 

なお、地熱発電設備については、当該設備の設備利用率80%を超えていること等の証明書を発行する証明制度、木質バイオマス発電設備、木質バイオマス熱供給設備については使用する燃料がおおむね未利用材または製材端材等であること等を証明する制度を用意しています。これにより、設備につき税務署からの確認等が生じた場合に、要件確認を円滑化できることが想定されます。ただし、制度は強制されるものではなく、この証明書がないからといって直ちに税務上否認されるものではありません。

 

8.リース、貸付設備又は中古設備も対象となりますか?

貸付設備又は中古設備は対象となりません。所有権移転リース取引による取得については、自己資産と同じ方法(定額法又は定率法)で償却することになるため、本税制を利用できます。所有権移転外リース取引による取得については、リース期間定額法で償却するため、本税制は利用できません。

 

9.どのような費用が取得価額となりますか?

対象設備の取得価額には、設備の購入代金(購入手数料等を含む)又は製作費(原材料、設備費、制作に従事した従業員の賃金、手当、福利厚生費を含む)に加えて、引取運賃、荷役費、運送保険料、据付費等の付随費用を含むと解されます。

 

具体的な付随費用の対象範囲は、所轄の税務署の相談窓口で確認してください。

 

10.特別償却の届け出用紙はありますか?

法人の場合、確定申告書に法人税申告書の「減価償却資産の償却額の償却額の計算に関する明細書」(償却方法により用紙が異なる。)を添付し、更にその明細書として付表の添付が必要です。

 

個人事業者の場合、確定申告書にこの制度を適用して計算した償却額を記載し、かつ、その償却額に関する明細書を添付することが必要です。

 

11.補助金や他の租税特別措置と併せて使えますか?

国又は地方公共団体の補助金等をもって取得等したものは対象となりません。他の租税特別措置については、法人税や所得税等の国税に対する他の優遇措置を受けた場合には、省エネ再エネ高度化投資促進税制と併用することはできません。

 

なお、法人事業税や固定資産税等の地方税に対する優遇措置については、省エネ再エネ高度化投資促進税制と併用することは可能です。

 

12.事業の用に供した、とは具体的にどのようなときをいいますか?

その設備のおかれている状態等を具体的に考慮して、個別的に判断することになります。一般的には、その設備の本来の用途・用法に従い現実に使用を開始したときをいい、その機械装置を使い当初予定している製品等が生産できる状態に達した時をもって事業の用に供したと解されます。

 

したがって、試運転中のものや、機械装置を使って作業を開始できる状態にあっても、その作業の開始がない限り事業の用に供したとはいえません。

 

なお、現実に製品等が生産されたということは、必ずしも問われるものではありません。実務上は、後日問題の起きないよう、設備をいつ取得し、いつ事業の用に供したか、を作業日報等の原始記録により確認し、明瞭に証拠だてる必要があります。この日については、例えば、年度末の3月31日か4月1日とかいった場合に問題になりますので注意してください。

 

13.特別償却を実施した場合、準備金方式を採用できますか?

採用できます。

 

14.自ら作って固定資産計上する設備は対象となりますか?

取得(購入)するもの以外に、自ら製作するものも対象となります。当該資産の取得価額の算出については、上記8.を参照ください。

 

<Point 2>太陽光発電設備の“連系工事負担金の取扱い”を知ろう!

また、国税庁は「太陽光発電設備の連系工事負担金の取扱いについて次のように説明しています。

 

【照会要旨】

甲社は、太陽光発電設備を取得し、発電した電力を電力会社へ売電する事業を行う予定です。

太陽光発電設備により発電した電力を電力会社に供給するためには、電力会社の電気供給設備に太陽光発電設備を接続(系統連系)する必要があり、この系統連系に伴い、電力会社の電気供給設備を新たに設置又は変更する場合には、その工事費用については、電力会社との間の契約に基づき甲社が負担することとしています。

この場合、甲社が負担する工事費用(以下「連系工事負担金」といいます。)は、繰延資産に該当しますか。また、繰延資産に該当するのであれば、「電気ガス供給施設利用権」(耐用年数省令別表三)の耐用年数に準じて15年間で償却して差し支えありませんか。

 

【回答要旨】

当該連系工事負担金は、繰延資産に該当します。また、その償却期間は15年として差し支えありません。

(理由)
1.連系工事負担金について

甲社は、連系工事負担金を支出することで電力会社の送配電網を利用して、発電した電力を売電できるようになるため、連系工事負担金は、甲社にとって自己が便益を受けるために支出する費用でその支出の効果がその支出の日以後一年以上に及ぶものとして繰延資産に該当します(法2二十四、法令141六ホ)。

なお、連系工事負担金は、電力会社の所有物となる電気供給設備の工事費用を甲社が負担するものであり、甲社の所有する太陽光発電設備に対する支出ではないため、これを固定資産の取得価額に含めることはできません。

 

2.償却期間について

連系工事負担金(繰延資産)の償却期間については、系統連系工事によって設置される電気供給設備の耐用年数や電力会社との契約期間等を基に合理的に見積もることとなります(法基通8-2-1)。

ところで、事業者が、電力会社から電気の供給を受けるため、電力会社における電気供給施設を設けるための費用を当該事業者が負担することがあり、この場合の負担金は、無形減価償却資産である「電気ガス供給施設利用権」に該当し、その法定耐用年数は当該施設の耐用年数等も踏まえ「15年」とされています(法令13八ヨ、耐用年数省令別表第三)。

連系工事負担金は、電力会社の電気供給設備についてその工事費を負担するという点や系統連系工事により設置される電気供給設備と上記負担金により設置される施設の内容とが類似しており、連系工事負担金の償却期間について、「電気ガス供給施設利用権」の耐用年数に準じて「15年」とすることは合理的と考えられます。

なお、連系工事負担金の償却期間について、例えば、電力会社との契約における受給期間とするなど、発電事業者が償却期間を合理的に見積もっている場合は、当該期間によっても差し支えありません。

 

(注) 受給期間は、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法第3条第1項《調達価格及び調達期間》に規定する調達期間(固定価格で買い取る期間)を限度として電力会社と発電事業者との契約で設定される期間であり、その期間内は売電を行うことが合意されています。

なお、例えば、受給期間を1年とし、自動更新というような場合は受給期間の終期が定められていないことから、調達期間(10KW以上20年、その他10年)を受給期間とみることとなります。

また、繰延資産として支出する金額が20万円未満である場合には、その支出の日の属する事業年度において損金経理をした金額は損金の額に算入することとされています(法令134)。したがって、連系工事負担金として支出する金額が20万円未満である場合には、その全額を支出の日の属する事業年度の損金の額に算入することができます。

 

※注記

平成30年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。

この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

 


まとめ

太陽光発電の耐用年数は一般的には17年と言われています。補助金を受け取って設定した場合では、法定耐用年数である17年間は勝手に処分することは出来ません。処分する際には、太陽光発電普及拡大センターで承認を得る必要があります。ただし、過去には法定耐用年数が9年になる事例があるなど、太陽光発電の使い方次第では耐用年数が変わる例外もありますのでご注意ください。

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