太陽光発電投資に必要不可欠な利回りの計算方法
利回りとは
利回りは、一般的に投資用語として、「投資によって得られる年単位の収益の割合(%)」を意味します。
「利回りが高い・低い」という表現で、投資の優劣を判断する指標で使われていることもあります。
利回りの計算式
(1年間の利益額÷初期投資額)×100=利回り(%)
太陽光発電投資で、10%以上の利回りを確保できるものは、魅力的な投資先です。
利回りは、太陽光発電に限らず、株式投資や債券、不動産など様々なところで使われます。代表的な利回りについてみていきましょう。
1.株式投資
株式投資の際に重視されるのが配当利回りです。原則として年2回の配当が行われますが、無配の企業もありますし、配当利回りは企業によって様々です。売買による利益よりも、長期的な配当金を目的としているならば、配当利回りは重要な要素となります。
利回り(%)=[(売買損益+分配金―売買手数料―税金)÷投資原本]÷運用年数×100
2.債権
債券とは、いわば国や地方公共団体、外国の政府や企業などが一時的に、広く一般の投資家からまとまった資金を調達することを目的として発行するものです。一時的に、お金を貸しているこので、一定期間ごとに利子を受け取ることができます。満期までの期間や対象となる国や企業によって、利回りは異なります。
◯非常に安定している国や企業であれば、安心して満期を迎えることができる可能性が高いので、多くの人から簡単に借り入れることができます。そのため、利回りは低く設定されています。
◯不安定な国や企業であれば、損失のリスクは高まります。そのため、債券を買いたいと思う人が少ないため、利回りが高くなる傾向があります。
利回り(%)=(年利子+償還差益÷期間)÷投資元本×100
3.不動産
不動産投資における「利回り」は、投資金額に対する1年間の収益割合(利益÷投資額)のことで、投資に対して得られるリターンがどれくらいかを表しています。不動産の場合、「表面利回り」と「実質利回り」について正しく理解しなければなりません。「全室埋まったら○万円の利益だから、利回りは○%」などというのは非常に危険な見方です。常に一定の空室があることを前提とし、年間の経費もしっかりと考慮した上で、必ず実質利回りを計算しましょう。
◆表面利回り◆
物件情報によく記載されている利回りによく使われ、年間家賃収入を物件の購入価格で割った数値です。
利回り(%)=(年間家賃収入÷物件価格)×100
◆実質利回り◆
年間家賃収入から固定資産税、火災保険料、各種管理修繕費、その他の手数料などを引いた額を元に計算し、表面利回りより実際に近い収益力を知ることができます。
利回り(%)={(年間家賃収入―年間支出)÷物件価格}×100
4.太陽光発電
太陽光発電も不動産と同様で、実質利回りを正しく捉えることが重要です。立地条件から年間利益のシミュレーションを行い、必要経費を差し引き、実質利回りを計算しておくことが大切です。
また、10kW以上の産業用の太陽光発電では固定価格で20年間、電力を買い取ってもらえるため、20年間の売電総額を考慮したシミュレーションを用いて比較検討することが重要です。
太陽光発電の利回り計算方法は、以下で詳しく見ていきましょう。
太陽光発電の利回り 計算方法
太陽光発電投資における利回りの計算方法には、「表面利回り」と「実質利回り」の2種類あります。
◆表面利回り◆
大まかな収益性を確認する数値であり、売電収入を継続的に得るためのランニングコストは含まれていません。
計算式
年間想定売電収入÷初期投資額×100=表面利回り(%)
例)22.68円/kWh(売電価格)×94,828kWh(売電量)=2,150,699円(年間想定売電収入)
2,150,699円(年間想定売電収入)÷19,720,000円(初期投資額)×100=10.9%
◆実質利回り◆
ランニングコストを含むため、より事実に近い値を算出することができます。そのため基本的に、表面利回りの方が、実質利回りよりも高い数字が出ます。太陽光発電の投資をする場合、維持コストを含めた実質利回りを把握しておくことをオススメします。
計算式
(年間想定売電収入-維持コスト)÷初期投資額×100=実質利回り(%)
例)(2,150,699-500,000)÷19,720,000×100=8.37%
※清掃・点検・修理・保険・土地代(賃貸契約の場合)などが維持費としてかかります
売電価格は、2012年度で40円/kWhから2018年度に18円/kWhに半減しているため、「利回りを期待できるのか不安」という声があります。実際、売電価格は下がっていますが、初期費用も同じく半額以上に下がってきているので、10%の利回りを期待することができます。
初期費用
上記のように、利回りの計算には初期費用の総額を把握しておく必要があります。ここでは、想定される初期費用の一例について見ていきましょう。
●物件の販売価格 800~2000万円前後
物件によって費用は大きく異なります。
●連系工事費用負担金 50~100万円前後
太陽光発電で発電した電気を電力会社に売電するための工事や手続きにかかる費用で、エリアや設備規模によって異なります。
●造成費用 1㎡あたり600~20,000円
太陽光発電設備が設置できるよう、土地を工事する際の費用で、土地の状態により費用は変動します。
●フェンス 100mあたり20~40万円前後
材質や設置面積により変わります。
●事務手数料 10~30万円
土地を借りたり、購入した際に発生する費用です。
まとめ
太陽光発電投資は、長期間でかつ、天候に左右されます。本格的な投資をお考えの方は、実質利回りの計算式や初期費用、ランニングコストなどの、リアルな実態を確認してから、投資をすすめていきましょう。