どの程度の土地価格なら太陽光発電所にしても採算があうか?

 
太陽光発電を導入する際に気になるのは、求める発電量を期待できる面積のパネルを設置できるかどうかでしょう。メーカーによってパネル1枚の面積や発電量、価格などが異なるため、一概にどれくらいの土地があれば、これだけのパネルが置けて、こんなに発電が可能です!とは言えませんが、ある程度の目安にはなるでしょう。
 
また、太陽光発電設備を取り入れたのに、思ったように売電収入が伸びず、意味のない投資になってしまったという人も中にはいらっしゃいます。この原因は、事前に確認するポイントが足りなかったというケースが多いです。採算が取れる投資にするためには、立地やシステムを活かす方法を学ぶ必要があるのです。
 
今回は、そんな土地の立地や広さなどから太陽光発電投資について、解説していきます。

太陽光発電と設置面積の関係

太陽光発電投資の採算を計算するためにまず、必要なのは土地価格との比較でしょう。いくら投資として人気があるといってもどれくらいの価格になるのでしょうか?
太陽光用地も場所によって価格が異なります。ズバリこれぐらいの価格ですというのは難しいのです。

 
また、日当たりや天候によっても左右されます。それに、太陽光パネルが何枚設置できるかも重要になってきますので、
ただ単純に数字は大きいですが、パネルが設置しにくい土地などでは採算が合わなかったりしてきます。
 
つまり、土地価格から採算を確かめるというよりは、どういったところをチェックポイントとして採算を見ていくのかという話になってきます。採算とはつまり、発電量がそのまま影響してきます。

確認不足によって発電量が期待を下回らないよう、最低限押さえるべきポイントを確認しておきましょう。

 
そもそも、太陽光発電用地としての土地価格は、事業収支で決まります。通常、土地の売買の際に価格を決める参考になるのは、地価公示価格です。しかし、太陽光発電投資の場合、あくまで事業収支として考えたときにどれくらい利回りが確保できるのかが重要になります。
 
適用される売電価格と発電所設置費用と土地の費用を計算して、利回りが10%前後取得できる金額になれば土地の売買は比較的スムーズにいきます(実際の発電所設置費用は、設置会社にご確認下さい)。
 
土地価格は、「何円の売電単価が取得できるのか?」「何枚のパネル設置が可能なのか?」で決まります。売電単価が変わってしまうと土地の査定金額が大きく下がってしまうので、売電単価の締め切りには注意が必要です。

 
・そもそも太陽光発電に必要な設置面積は?
仮に住宅用太陽光発電の場合だと、一般的に3kWくらいの規模でソーラーパネルが設置されています。ただし、発電した電力すべてを売りたい場合は事業用太陽光発電扱いとなり、10kW以上の設備が必要になってきます。ちなみに太陽光発電の発電量が3~5kW程度のとき、必要なパネルの設置面積は18~30㎡くらいです。つまり事業用太陽光発電となる10kW以上だと、60㎡以上の面積を確保する必要があります。

 
太陽光発電のパネルは、業者ごとに最大出力、面積が異なってきます。最近は、200W程度の最大出力があり、1.2㎡くらいの面積のパネルを販売している業者が多いのでこの数値を例にして計算してみます。
先ずは小さい出力で必要面積を試算してみましょう。

 
【必要なパネル数の計算】
200Wのパネルで3kWの発電量が欲しい場合=3kW÷200W=15
200Wのパネルで5kWの発電量が欲しい場合=5kW÷200W=25
となり、必要なパネル数は15~25枚くらいです。

 
【1.2㎡のパネルを使う場合の必要面積】
200Wのパネルで3kWの発電量を求める場合、1.2㎡×15=18㎡
200Wのパネルで5kWの発電量を求める場合、1.2㎡×25=30㎡
となり、必要面積は18~30㎡くらいと計算できます。

 
また、パネルを並べて設置しても、周囲にはメンテナンスなどのためにも空間にゆとりを設けますので、必要な太陽光パネルの面積の5~10%程度は余分な面積を計算しておきましょう。
産業用の低圧発電所(50kW未満)にする場合は、もう少し検討が必要です。上記のシンプルに試算した場合ですと、5kWで30㎡と試算していますが、産業用の場合はパネルを多めに積むこと(過積載)でピーク時の発電量を多めにし、パワコンで50kW未満に絞り込みます。そうすることで早朝や夕方の日照量が少ない時間帯でも多めの出力を確保できるようにしています。最近では、80kWや90kWくらいまでパネルを設置している低圧発電所も多く見受けられます。この様な場合、必要となる土地の面積は、上記試算の2倍近く必要になります。また、パネルの設置角度によっても必要面積が変わってきますので、実際の設定段階では、そのようなことも視野にいれて計算する様にしてください。

 
・パネル面積当たりの発電量
続いて、太陽光発電の発電量とパネル面積の関係性についてです。
パネル1枚あたりの発電量は、もちろんですがパネル販売をしているメーカーごとに違います。また、1枚あたりの面積も違うため、一概にパネル面積による発電量の違いを比べることはできません。理想は、パネル面積が小さく、1枚あたりの発電量が多いものを選べば、効率的に電力を確保することはできます。
 
統一された大きさや発電量ではないため、単純に比較することは難しいですが、あくまで参考までに10kWを確保する際に必要な場合を例に挙げてみましょう。

確認すべき点は、「パネル面積」、「目安となる根面積(パネル面積×1.05)」、「必要なパネル枚数」、「パネル1枚あたりの発電量」の4つです。

 

パネル面積:49.8㎡
屋根面積:52.29㎡
必要枚数:40枚
発電量:250W
 

パネル面積:62㎡
屋根面積:65.1㎡
必要枚数:38枚
発電量:270W
 

パネル面積:64.8㎡
屋根面積:68.04㎡
必要枚数:50枚
発電量:200W

と③を比較したとき、パネル面積、設置面積、必要枚数においては①の方が③より少ないですが、発電量は50Wも多いことがわかります。つまり、面積で発電量が違うというわけでなく、パネルを販売しているメーカーによってパネル当たりの発電量の設定値が違ってくるのです。面積が大きいからといって発電量が多いというような、単純なものではありません。

 
・パネルのサイズについて
パネルのサイズに規格は存在しませんが、パネルを構成する太陽電池セルは125mm角、152.4mm角、156mm角など、使われることが多いサイズはあります。これらを縦横に何枚も並べ、長方形にしたものが一般的な太陽光パネルです。

 
メーカー内でパネルのサイズを規格化し、互換性を高めるという動きはよくあります。
モデルチェンジの際に同じサイズで作れるメリットがあり、パネル交換に対応しやすいからです。

メーカーごとにパネルのサイズは違ってきますが、1枚あたりの面積と発電量がわかれば、設置したときの総面積や総発電量を計算することはできます。実際にあるパネルのサイズを例にして、数値を比べてみましょう。
 
・1482×985×35mm(1.46㎡)で225W
・1231×638×6.5mm(0.79㎡)で100W
・1657×858×46mm(1.42㎡)で245W
・1318×983×46mm(1.30㎡)で200W
・1559×798×46mm(1.24㎡)で253W
 
上のように、1枚あたりに必要な面積と発電量がわかります。ここから必要な枚数分を計算することで、面積による発電量の違いを算出することが可能です。

 
なお、実際に産業用太陽光発電所の購入を検討される場合は、この様なパネルの種類やサイズ、設置枚数、必要な土地面積などについては、開発会社や販売会社が全て設計段階で済ませていますので、皆さまがご自身で検討される必要はありませんのでご安心ください。ここでは、こうやってパネルの設置枚数や発電規模が考えられている点、そして、過積載という方法で無駄なく日光を電力に変換し投資効率を向上させている点をご理解いただければと思います。
この後も、土地面積による違いなどもご説明いたしますが、ご所有の土地などに太陽光発電所を設置される際の目安としてください。

 
・坪数からみる太陽光発電
それでは次に、坪数の大きさごとに太陽光発電の採算を見ていきましょう。

 
●30〜100坪
30坪以上なら10kWの設置が可能です。小規模な産業用発電事業と考えてもらっていいでしょう。30坪・50坪・100坪の坪単価、㎡単価は比較的手を出しやすく、収支を増やしやすい規模といえます。
 
理由は、設置できる設備の容量です。10kW以上から50kW未満は、地上設置の設備の一般化が進んでいると言える容量で、オススメの規模感と言えます。

 
●200坪程度
200坪程度の土地の場合、60kWを超える発電が可能ですが、50kW未満に容量を抑える方がリスクが少なく安全です。50kW以上からは高圧扱いになってしまうため、キュービクルの設置やメンテナンスの義務などが生じ、費用面や運用面などでどうしてもハードルが上がってしまいます。
 
できるだけ手間がかからない方がお好みの場合は、300坪未満の土地であれば低圧の選択をしてもよいでしょう。迷っている方はぜひそらNAVIにご相談ください。

 
●500坪以上
500坪、1000坪単位の土地で太陽光発電の設置を考えるなら、本格的なに太陽光発電投資の導入を考えてもよさそうです。高圧は低圧に比べて、キュービクルの設置等で数百万~数千万単位で初期費用が上乗せされますが、それ以上の売電収入が期待できます。

低圧に比べて定期的なメンテナンスが必要になってくるため、運用費を20年間で見積もっておくことをオススメします。
また、高圧連系の設備においては接続連系ができない地域もありますので、最新の情報をチェックするようにしましょう。

 
・結局、1㎡あたりの発電量はどれくらい?
結局のところ、1㎡あたりで太陽光発電はどれくらい発電量が得られるのか?というところが知りたい部分になりますね。それがわかれば、だいたいの土地の広さによって単純に計算することが可能です。

 
先述した通り、発電量はパネルの性能(主に変換効率)などによって比例し、地上に設置した場合だと1平方メートルで年間75kWh~115kWhが得られる計算です。もちろん日当たりの良い地域ならさらに多くの発電量が期待できます。この数字は地上設置を想定した場合で、パネルの列ごとの間隔も加味した数値になっています。
 
2019年の売電価格は、14円/kWh(税別)になっているので、1000~1600円程度の年間利益になります。つまり、100㎡だと160万円ほどの売電収入になるということですね。

 
大手電力会社から20年間の固定価格買取が保証されているので、安定した収益が見込めます。不動産投資など他の投資と比べても、空室リスクなどもなく、見積もった利益とそこまで誤差が出ないため、安定した投資と言えますね。
 
これらを土地価格と一緒に計算して出た数字が利回りです。いわば、何年間で費用をペイできるかを表している数字と言えます。太陽光発電投資の利回りは10%を超えるものも多く、10年前後でペイできるものが多い安定した投資です。

 
つまり、土地価格もそうですが、先ほど説明したように土地の広さによって設置できるパネルの量なども変わってきますし、パネルによっても発電量に差があります。低圧にするのか高圧にするのかももちろんですし、メンテナンス費や土地によっては比較した狭い土地であっても、日当たりや日照時間の長さで1㎡あたりの発電量にそこまで差がでないことも考えられます。それらを踏まえて、簡単に採算が取れるかどうかを計算できるのが「利回り」という数字になってきます。
 
もちろん利回りもあくまで単純に計算したものですので、一概に利回りの通りにいくとは言えませんが、太陽光発電投資の場合はFIT制度によって、20年間の固定価格買取が保証されています。ですので、そこまで誤差のない数字とも捉えることができます。

 
ですので、土地価格というよりは、その土地そのものの状態、条件などを詳しく確認しておくことが大事でしょう。地盤がゆるんだりしていると、地盤改良する手間が出てきてしまったり、土地が安い物件であっても、日照時間や日当たりなどの影響で発電量が平均を見込めない可能性も出てきます。ですので、だいたいの土地価格の条件の中から、その土地の状態や条件をしっかりと把握することがポイントです。

 


まとめ

今回は、土地価格と太陽光発電投資の採算について解説しました。土地価格だけでは一概に採算が合うかどうかを判断するのはリスクが大きいため、それ以外の要因をきちんと加味したうえで、太陽光発電投資を行なうかどうかを判断することをオススメします。

土地を持っていて太陽光発電投資をお考えの方、また土地付きで太陽光発電投資をお考えの方はぜひ、そらNAVIにご相談ください。土地の条件によってどの程度の発電量にしておけばいいのか、どんなパネルの量や設置の仕方がいいのかなど、相談に乗れますので、ぜひご検討くださいね。

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