使っていない農地で太陽光発電を!投資しながら農業ができる新しいスタイル

 
土地を所有している方の中には、親や親戚などから引き継いだ農地を持っている場合や、農業を行っていたが業種を変えてしまい、農地を使用しなくなった場合などもあるかと思います。そんなとき、使用していない農地はもったいないので、ぜひ有効活用したいですよね。放置状態となっている農地を、転用で土地活用を検討する場合もあります。

農地以外の土地活用だと、特別な許可を得ずとも何らかの建物を設置することができますが、農地転用の場合は許可が必要です。また、太陽光発電を設置する場合も同様に、農地転用の許可を通してからでないと、設置工事を進めることができません。

そこで、使わなくなった農地を有効活用したい、農地転用で太陽光発電を検討している方へ向けて、農地転用での太陽光発電投資のことを解説していきます。

農地転用とは?

引き継いだり、業種が変わったりなどの理由から、使われなくなった農地のことを耕作放棄地、遊休農地、休耕田、遊休地、などと呼びます。これらの土地は、過疎化によって人がいない、農地の跡継ぎがいないなどの理由から増えており、
2010年の調査の段階で確認された耕作放棄地の面積は40万ヘクタール、なんと東京ドーム8510個分もの土地が放置されています。この広い土地を有効利用しようと、農地に太陽光発電を導入することを太陽光発電の農地転用といいます。簡単に言えば、農地を農地以外の目的として転用することです。
 
そもそも、土地には使用目的が限定される「地目」という制度が存在しています。例えば、「宅地」は住宅や事業所が建築出来る土地のことです。ほかにも田、畑、山林、原野、さらには学校用地、鉄道用地などのように土地の利用が地目によって限定されています。

 
太陽光発電投資は、地目が田や畑といった「農地」のままでは設置できないことになっています。そのため、耕作放棄地や有休農地といった、現在使われていない農地を別の地目に変更することが先ほど説明した農地転用です。
 
しかし、日本の食料自給率は世界的にも最低レベルとなっている中、農地は農業に利用される土地なので、その農業が可能となる範囲が減少することを意味します。農地が他の地目に一旦変更されると、多くの場合は再度田や畑に戻すことは考えにくいことから、農地転用の審査や条件は非常に厳しく転用許可が下りにくいのが現状だったりもします。
 
農業保護政策により、無断で農地を農地以外の目的に利用することは禁じられており、太陽光発電を設置するためには宅地などの地目に変更する必要があるため、手筒機をきちんと済ませておきましょう。この手続きを申請せずに太陽光発電を設置してしまうと、3年以下の懲役または300万円の罰金(個人)、法人にいたっては1億円の罰金を取られる可能性もあるので注意しましょう。

 
・どんな手続きが必要?
農地を転用、または農地を転用するために権利の移転をおこなうなどの場合、都道府県もしくは農林水産大臣が指定する市町村の首長の許可が必要です。

農地転用は、設置者本人が申請する方法(農地の所有者自らが自分のために転用を行う場合)と、代理申請(施工・販売店や行政書士、転用を目的に農地を買ったり借りたりする場合を含む)する方法の2つがあります。
 
基本的に農地転用の対象となるのは、鉄道の駅が500m以内にある等市街地化が見込まれる農地又は生産性の低い小集団の農地(周辺の他の土地に立地することができない場合等は許可)と、鉄道の駅が300m以内にある等の市街地の区域又は市街地化の傾向が著しい区域にある農地のみとなります。これらを「第2種農地」「第3種農地」と呼びます。

それ以外の土地区分については、転用の許可が下りないことになりますが、上記以外にも農地転用には「特例制度」を利用することが可能です。
 
特例農地転用の申請手続きは、同様にまず農業委員会へ申請書を提出しますが、その許可を出す相手が異なります。通常の場合、「都道府県知事」の許可が必要となりますが、農地面積が4ヘクタール以上の場合は「農林水産大臣」の許可が必要となるのです。

 
しかし、2013年より以下のような場合でも、太陽光発電が目的であれば一時許可が降りるようになりました。
 
・農地に支柱を立てて地上から一定の高さにソーラーパネルを設置すること(ソーラーシェアリング)
・適切な営農を継続すること
・周辺農地の営農に支障を及ぼさない程度の規模であること
・太陽光発電システムを設置した農地での農作物生産状況を毎年報告すること
・営農状況が好ましくないと判断された場合、一時許可を取り消されることもある
・一時転用許可期間は3年間と定め、満了前に延長手続きを行う必要がある
 
などがその条件です。
条件があるとはいえ、農地転用手続きを省けるようになったことは非常に大きなポイントです。

 
本人が農地転用の手続きを行った場合、だいたい1万円の費用がかかります。コストパフォーマンスの面で見ると、本人で申請するのが一番ですが、面倒な方は代理でお願いしてもいいでしょう。その場合は、約20万円程度の費用がかかると思っておいたほうがいいかもしれません。

 
・なぜ農地には太陽光発電投資がいいのか?
田舎には耕作をしていない農地が多く、政府は色々と手を変えて耕作率を上げるための施策を取っていますが、農地を使うには農家でなければならなかったり、相続で農地を取得した人や、事情があって農家をやめてしまった人にとって、農地は非常に扱いが不便だったりもします。日本国内の農業従事者の人数は年々減少しており、今や耕作放棄地は全国におよそ40万ヘクタールも存在します。そんな背景もあり、今では農地を太陽光発電投資にする計画が進んでいるのです。
 
農地の活用方法には、農地として活用する方法と転用して活用する方法に分かれ、それぞれにおいてもいくつか考えられますが、その中の1つが太陽光発電投資です。農地は日照の良さがウリで太陽光発電には適しており、遊休農地を収益物件として変える手法として注目されています。

 
・農地転用のメリット
●耕作放棄地を有効活用できる
耕作放棄地とは、農作物が1年以上作付けされず、数年の間に作付けされる予定もない田畑や果樹園のことです。耕作放棄地をそのままにしておくと、雑草が生い茂り、害虫が増加するなどの問題が発生しますので、耕作放棄地といえども、土地の所有者の責任として、定期的な管理は必要です。また、そのためのコストや手間は決して少ないものではありません。

 
そうした耕作放棄地をそのままにしておくのではなく、農地転用して太陽光発電投資の土地にすることで、売電収入を得ることが可能です。また、農地は一般的な土地よりも比較的安く購入できるため、購入する場合でもお得です。

 
●発電量が農地だと多く期待できる
農地は太陽光発電システムを設置する上で理想的な条件です。なぜなら農業をしていた土地のため、日当たりが十分の良いことが前提となっています。太陽光発電システムの発電量は、日射量(日当たりの良さ)や気温などが関係するため、農地は太陽光発電投資にとって、好条件の土地です。住居の屋根に太陽光発電を設置するなどよりもはるかに高い発電効率を期待できるでしょう。また、農地は土地の面積も広いものや障害物がない場合が多いので、住宅や事務所の屋根に太陽光パネルを設置する場合よりも、大規模な太陽光パネルを設置することが可能です。
 
ちなみに、一般的な家庭での太陽光発電の発電量は10kW未満であり、使用しなかった余剰電力は電力会社に売電することができます。一方、農地を活用した太陽光発電なら発電量は、10KWを大きく超え、大量の電気を買い取ってもらうことができます。
 
電気の買い取り価格は年々低下傾向にありますが、発電量が10kWを超える場合、買い取り価格が20年間変化しない「固定価格買取制度」(FIT制度)を利用することができ、安定した売電収入を得ることができるでしょう。

 
●ソーラーシェアリングも可能
ソーラーシェアリングとは、畑に太陽光発電システムを設置して発電をしながら、同時に作物も育てる方法のことです。しかし、太陽光パネルを設置すると、影ができるため農作物が上手く育たないのではとの指摘が多かったのですが、最近の研究では、太陽光発電システムを設置しても育ちが悪くならないどころか、むしろよく育つ作物まであることが判明しています。
作物によって光合成に使用する太陽光に限度があるため、ある一定以上浴びても無駄になってしまうものもあるのが理由です。これまで無駄になっていた太陽光を、太陽光発電システムのほうでエネルギーに変換することで、半日陰が適している作物はより育ちやすくなる環境が作れるうえ、売電収入も期待できるのです。

 
また、太陽光パネルの設置数を増やし、ほとんど日陰になっても育つ作物もあります。たとえば、椎茸やキクラゲなどのキノコ類です。他にも、サカキやセンリョウなど、多くの作物が半日陰でもよく育ちます。環境に適した作物を植えれば、ソーラーシェアリングは十分に可能なのです。

 
●農地転用の手続きが省略されるケースも
先述した通り、一般的な農地転用手続きの際には、色んな書類が必要となる上に、行政書士などに代理をお願いすると、10~20万円程度の手数料が掛かります。審査も厳しくチェックされますので、非常に時間がかかる上に地域によっては許可が下りない可能性も出てきます。
しかし、利用目的が太陽光発電等の次世代エネルギーの場合において、軽減措置が認める市町村も増えてきています。農地転用の面倒な手続きが省略されることで、スムーズな事業計画が実現可能となってきているのです。

 
先ほどソーラーシェアリングについて触れましたが、実際に農地を太陽光発電投資に使える土地にする場合、大きく2つの方法があります。それが、「営農型農地転用」と「農地転用型」です。簡単に説明すると、営農型農地転用は先ほど触れたソーラーシェアリングのような、農業も行いながら太陽光発電投資を行う方法、農地転用型は完全に太陽光発電投資の土地へと転用させる方法です。

営農型農地転用について

ソーラーシェアリングによる営農型の太陽光発電は、支柱を立てることで農地の上空に発電パネルを並べて設置します。
下にある作物が育つ最低限の光量を確保しないといけないため、発電パネルで覆うのではなく、一定間隔の隙間を作って並べていきます。

 
営農型で発電パネルを支える支柱は、耕作以外で農地を使用する状況を例外的に認めるものなので、簡易で容易に撤去できるぐらいのものが求められます。一般には専門業者に依頼することがほとんどでしょう。また、農地をコンクリートで固める行為は認められておらず、作物への日照の影響を避ける意味からも、強固で太い支柱は不向きです。このあたりは行政側と調整が必要になるので、農業委員会等へ相談することをオススメします。

 
営農型の太陽光発電は、営農が適切に継続されることを条件として認められます。特に作物への影響がないことが前提となります。
 
・下部の農地の単収が地域の平均的な単収よりも2割以上減少しない
・作物の品質に著しい劣化が生じない
・農作業に必要な機械等の効率的な使用が妨げられない

の3つが条件となります。

 
・法改正によって、営農型農地転用のハードルが低めに
平成30年5月に、太陽光発の農地転用許可制度が見直されたことにより、営農型太陽光発電が導入しやすいようになりました。これは、農業経営の改善を促進させるためであり、農業経営を改善させ規模拡大や荒廃農地の再生を促すものであります。
 
今まで営農型の太陽光発電の許可は一律3年間でした。しかし、今回の法改正で一定条件を満たす場合は期間が10年以内へと伸びたのです。
 
毎年、年1回は下部の農地で収穫された農作物の単収と地域の平均的な単収などを報告必要がありますが、許可期間が伸びることによって、金融機関からの融資なども受けやすくなるため非常にハードルが下がります。
 
一時転用許可期間を10年以内に伸ばすのに必要な条件は以下の通りです。

・担い手が所有している農地又は利用権等を設定している農地で当該担い手が下部農地で営農を行う場合
・ 農用地区域内を含め荒廃農地を活用する場合
・ 農用地区域以外の第2種農地又は第3種農地を活用する場合

 
また、一時転用期間の延長の他にも、農林水産省は農山漁村再生可能エネルギー相談窓口を設置しました。営農型太陽光発電でどれくらいの収益が出るのかなど、農業者の相談にのったり、優良事例の収集や専門家の紹介をするなど、営農型太陽光発電を検討する農業者をサポートしてくれます。
 
相談窓口は農業者だけでなく、自治体などにも対応しており、営農型太陽光発電の優良事例や支援策などの相談にものってくれます。国は農業者だけでなく、地方自治体も合わせてサポートすることで、営農型太陽光発電の促進を進めようとしているのが伺えるため、農地転用を考えるならぜひ今がオススメです。

農地転用型について

農地の所有者自身が農地以外の目的で農地を使用するには、農地法第4条に基づく農業委員会への転用許可申請を必要とします。いわば、今まで説明した従来通りの手続きの方法ですね。転用型では、転用の手続きさえ終わってしまえば他の地目とは変わりないので自由に工事を進められるのですが、問題は地盤にあります。
 
太陽は真昼でも頭上に位置することはなく、できるだけ多くの太陽光を発電パネルで受けるためには、発電パネルを傾けることが必要不可欠です。発電パネルを傾けて設置するには、架台を必要としますが、傾けるほど風圧による影響を大きく受け、架台はしっかり地面に固定されます。
 
ところが、作物を育てるための農地は、固いどころか畑ならフカフカ、水田ならドロドロの粘土質ですから、架台の基礎を固定するためにはどうしても地盤改良が必要になるケースが多いです。地盤も確認した上で、転用型にするのか営農型農地転用にするのかを決めてもいいでしょう。

 


まとめ

今回は、太陽光発電投資における農地転用についてご紹介しました。
農地と太陽光発電投資の相性はとても良く、日当たりの良さだったり、土地の安さだったりなど太陽光発電投資をするにはオススメの土地です。また、ソーラーシェアリングなど農業も行いながら太陽光発電投資による売電収入を期待するなどの効果も望めます。使われていない農地などを持っている方はぜひ、太陽光発電投資をご検討ください。

お電話でのお問い合わせ
03-6555-3771

メールでのお問い合わせ