個人事業主のメリット・デメリット

 
独立を考えて会社を辞めたい人、フリーランスで仕事をしている人の中には、「このまま個人で仕事をしていていいのか、自分で会社を興したほうがいいのか。」と、悩んでいる方も多いと思います。
 
つまり、どっちが得なのか、という点が気になる部分でしょう。

個人か、会社か?様々な観点から探っていきます。

会社を作るメリットは「節税」「信用」「見栄」のため!

会社を設立するためのメリットは、「節税」「信用」「見栄」だと考えていいのではないでしょうか。

実際、会社を設立したらいいに決まっている、と考えて気楽に法人化したものの、そうでもなかった・・という人もいます。

まず最初に法人化した場合の内容を見ていきます。

 
法人は信用を得られる
法人は会社名もしっかりあるということで、社会的な信用を受けやすいです。

個人よりも仕事の幅が広げやすいでしょう。
 
例えば、事務所や店舗を借りるとき、銀行から融資を受けるとき、個人は後ろ盾がないので「信用がない」というか、どこにも所属していないのですが、法人の場合は、社会的、対外的にも信用が高くなるでしょう。

個人が事務所や店舗を借りる場合は、保証人が必要になります。
 
ですが、法人は、社長自身が保証人になればいいので、個人よりずっと簡単に運用資金を借りられます。

開業資金や、運転資金、設備資金など、個人が借りようとするとかなりのハードルの高さを実感することになります。

融資に頼り過ぎてはいけないのですが、例えば、そういった融資を受ける場合も銀行の対応が変わることは確かです。
 
もちろん、代表者の個人保証や担保が必要な場合はあるようです。

 
自己資金は必要
もちろん、借りた金は返す必要があり、「儲かる」ということを前提にお金を借りるはずです。

返済は利益からするのであって儲ける自信がないのに、お金を借りるのは論外になります。
 
もちろん、自己資金もないのに会社を立ち上げると、最初から借金苦に悩まされることになるので、ある程度の自己資金は必要になります。

 
大手企業と取引なら法人化
個人の場合、仕事と故人の銀行口座が一緒の人も多いようです。

そうすると入出金が、非常にわかりにくいのですが、法人にすると決算書を作成しますから経理の透明化が図れます。
 
また、法人登記をしなくてはいけないので、会社がどこにあって何をしている会社なのかが証明できます。

また大きな企業になると、個人とは取引しないという場合もあります。
 
ですから、会社をつくっておけば、仕事の幅は広がることにつながります。

 
助成金がもらえるのは法人
お金を借りたら、もちろん返す必要がありますが、なんと返さなくてもよいお金があります。

金融機関から借りたお金は返すのは当然ですが、「助成金」は返さなくてよいのです。

一定の条件があって初めてもらえるのですが、会社のほうがもらえる助成金の種類は大きくなります。

 
助成金をもらうときに気をつけること。
助成金が欲しくてたくさん人を雇い入れたとした場合、法人は従業員の社会保険を負担する義務があります。
 
ですから、雇った分だけ売り上げがきちんと上がればいいのですが、そうでない場合、社会保険料の負担が大きくのしかかってきて、せっかく起業したのに社会保険料が払えなくなって倒産してしまう会社も実際多くあります。
 
2005年の時期に国が「介護事業をスタートさせる人のために」という名目で積極的に助成金を配ったのですが、介護事業を続行させるのが厳しく、助成金をもらいたくてスタートしたのはいいけれど、事業が軌道に乗る前に社会保険料が支払えなくて、会社が倒産するケースが続出したのです。

痛ましいことに、自殺する人まで出たようです。
 
ですから起業したいなら、自己資金をメインに考慮するのが無難なのです。

ですが、ここで様々な助成金についても見てみましょう。

 
起業の際に利用者が多い助成金
●中小企業基盤人材確保助成金
会社を興したり、個人事業をしたり、異業種に進出するときに、人材雇用をした事業主に支払われます。

賃金の一定額を支給するもので、一人につき140万円の助成金が支給されるというものですが、最大5名までに限られます。
 
最も重要なポイントをみていきます。
1・創業を行ったり、異業種進出開始日から6ヶ月以内にしっかり提出の必要があります。
「改善計画」を都道府県知事に提出して、認定を受ける事業主であることが条件となります。

2・創業や異業種進出に伴っての準備費用に(設備の整備等)250万円以上負担をかけている事業主である必要がありますし、経費と認定される項目内容も細かく定められています。
その他にもいくつか要件が設けられていますし、作成書類や添付書類も多々あるので、かなり手間だと言えるでしょう。

 
●受給資格者創業支援助成金
この件について説明しようと思ったのですが、平成25年に廃止になったようです。

その代わりと言っては何ですが、新しく「受給資格者創業支援助成金」に代わるものができたようなので説明します。

 
【地域雇用開発助成金】
地域雇用開発助成金は、雇用状況が非常に厳しく「過疎等雇用改善地域」
「同意雇用開発促進地域」「特定有人国境地域」に指定されている地域が対象となっていて、その対象地域の求職者を雇用した事業主に対してのみ、その人数に応じて一定の金額が支給されます。

地域によって指定期間が異なるため、確認が必要になります。

 
【地域中小企業応援ファンド】
中小企業基盤整備機構と都道府県がつくったファンドの運用益によって成り立つ助成金です。

その新事業開発が地域経済の活性化につながるなら支援しようとする制度です。

 
【特定求職者雇用開発助成金】
ハローワークを通じて雇用した母子家庭の母親などがいた場合に受給できる助成金です。

必ず対象となる求職者が求人応募というわけではないのですが、こういった制度も経営の安定化にはつながるでしょう。

 
ここで注意が必要ですが、受給資格者創業助成金制度の場合も、その後できた地域の助成金も、開業の資金として利用することはできないようです。
 
なぜかというと、こういった制度による助成金が受給できるのは、対象求職者を雇い入れたり、事業を開始後の約10カ月~1年ほどの期間経過後となるからです。
 
ですが、うまく利用することで経営の安定化につなげられるでしょうが、条件が「受給資格者創業助成金制度」と比較するとかなり厳しくなっているようです。

 
●トライアル雇用奨励金
(※2018年7月、名称が「トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)」に変更となりました。)
経験不足者の雇用促進し、常用雇用への移行や雇用のきっかけとするための制度です。

ハローワークを通じてトライアルで求職者を原則3か月間雇用した場合、一人月額4万円、が最高3か月支給されるというものです。

補助金や助成金の特徴をきちんと把握していないと、資金調達のつもりでいたのに、かえって苦しい資金繰りになる可能性もあるので十分な配慮が必要になります。

 
法人化のデメリット
法人住民税、均等割というランニングコストが発生します。
 
さらに事業税というものもかかってきますし、例えば顧問料を支払った場合は年間50万円くらいランニングコストがかかることがあるようです。

個人事業主のメリット・デメリット

いろいろ法人についても書いてきましたが、ここで個人事業主のメリットは、なんなのか、デメリットはなんなのか、探っていきます。
 
国の制度の変更により修正が発生するものもあるので、ときどき再確認しておく必要があります。

 
個人事業主のメリット
個人事業主になるのは、手続きが簡単です。
 
個人事業主の開業届けを出すだけですし、厳密には、事業所得があれば確定申告しなくてはいけない状態になるので、個人事業主になることができます。

 
個人事業主は、年に1度、「確定申告」が必要
1年間の事業の収支計算をして、所得税額を計算し、確定申告に必要な書類の作成をするのですが、最近は確定申告ソフトなど便利なものもあるので簡単に自分で行うことができるでしょう。
 
確定申告には個人事業主の場合、2種類の申告方法があり、「白色申告」と「青色申告」に別れます。

 
青色申告
は控除額が大きく、節税メリットが大きいですが、複式簿記という、複雑な記帳が必要です。
 
青色申告をしたい場合は、開業届に加えて「青色申告承認申請書」を提出する必要があり、白色申告は単式簿記という簡単な形式での記帳が可能ですが、控除額はありません。

法人と個人事業主の比較の面では、個人事業主は赤字の繰越が3年までしか出来ませんし、法人としか取引しない企業もありますし、税金面でのメリットは法人の方が多々あります。

従業員を採用する際も、法人はイメージがいいでしょう。

 
青色申告メリット
青色申告特別控除
個人事業や不動産事業を営む人が青色申告を選び、正規の複式簿記によって記帳している場合、その記帳をもとにして作成した貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付し、確定申告することで、青色申告特別控除として、最高65万円を差し引いてもらえます。

 
青色事業専従者給与の必要経費算入
青色申告者は、事業主と生計を一にしている配偶者や15歳以上の親族が、その事業に従事していた場合、支払う給与については、仕事の内容やその程度を照らし合わせて認められる金額を必要経費に算入することができます。
この特典を受けようとした場合、「青色事業専従者給与に関する届出書」を所轄税務署に提出する必要があります。
ただし、事業的規模でない不動産貸付業を営む方に関しては、青色事業専従者給与の適用を受けることはできません。
また、白色申告においては、配偶者や親族に支払った給与を必要経費に算入することがみとめられません。
ですが、事業専従者控除といって、配偶者の場合は最高86万円、15歳以上の親族は最高50万円を必要経費として差し引くことができます。

 
純損失の繰り越しと繰り戻しができる
青色申告をしている場合、事業から生じた純損失の金額を、翌年以後3年間にわたって、順次各年分の所得金額から差し引くことができます(純損失の繰越し)。 また、前年も青色申告をしている場合は、純損失の繰越しに代えて、その損失額を前年分の所得金額に繰り戻して控除し、前年分の所得税額の還付を受けることもできます(純損失の繰戻し)。

 
貸倒引当金の計上
事業所得を営む青色申告をしている人は、その事業で生じた売掛金、貸付金などの貸金の貸倒れによる損失の見込額として、年末における貸金の帳簿価額の合計額の5.5%(金融業の場合は3.3%)以下の金額を貸倒引当金として計上した場合において、その金額が必要経費として認められる、というものがあります。

 
青色申告デメリット
青色申告は、すぐに適用することができず、事前の承認申請が必要になります。
大きなデメリットは、青色申告で求められる要件である正規の簿記の原則により記帳された複式簿記の要件を満たしていなければいけない、満たした帳簿を作成しなければならない、というものが挙げられます。
また、それらは一定期間、保存しておく必要があります。
この青色申告で求められる要件は、結構面倒で、一定の簿記の知識がなければ困難になってきます。
その簿記の知識をもとにして、ルールに添って、取引の詳細を記録していく作業が必要となってきます。
そういった知識や時間がない場合は、税理士に依頼しなければならず、コストが別に必要になってくるのでデメリットとされていました。
ですが、平成26年の法改正で白色申告に関しても帳簿の提出が必要になったので、手間がかかるという点では白色申告と青色申告にそれほど差がなくなってきた現状では、青色申告の方がお得と言えるでしょう。

個人事業主が納める税金の種類・その1

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●個人事業主の税金は、大まかに2種類
国税
地方税

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税金は大きく分けると「国税」と「地方税」があります。

 
【国税】
読み方のとおり国に納付する税金のことです。
国税には所得税や法人税などのように納税者が直接税金を納付する「直接税」、
消費税のような「間接税」、不動産取得税、印紙税など流通移転などに関連して課税される「流通税」の3つに大きく分けられています。

 
【地方税】
都道府県や市町村に納付する税金を、「地方税」と呼びます。

地方税はさらに納付先によって「都道府県税」と「市町村税」に分かれ、これらはまとめて「住民税」とも呼ばれます。

また、地方税の中には、固定資産税、自動車税なども含まれます。

個人事業主が納めるべき税金の種類・その2

個人事業主が、納めなければいけない税金の種類にはどのようなものがあるのでしょうか。
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●個人事業主が納める税金の種類
所得税
消費税
住民税
個人事業税

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所得税
1年間に稼いだ所得に対して課せられる税金を言います。

所得税というものが、最も大きな支払い部分として個人事業主の税金内容を占めています。
 
個人事業主は、収入から経費や控除を引いた「課税所得」に応じた税金を支払います。
 
所得税の計算方法
「課税所得(収入-経費-青色申告特別控除額-所得控除額)×税率-税額控除」

 
1年分の所得(利益)は、翌年の2月16日〜3月15日までに確定申告によって税務署に申告する必要があります。

 
消費税
事業年度の売上が1,000万円以上となった場合に発生する税金で、ほぼすべての取引に対して課税されます。
 
納付時期は3月。
 
ですが、開業から2年間、もしくは開業後2年以上経っても前々年の課税売上高が1,000万円以下の場合には消費税の納税の必要がありません
 
上記のように様々な条件があることで、消費税は納付しなくて良い個人事業主も多いです。

 
住民税
個人事業主が事務所を置いて活動している都道府県、市町村に納めます。

「道府県民税」と「市町村民税」の2種類があり、所得金額に応じた課税がなされます。

納付書は毎年6月に送付されてきます。
 
確定申告している人は申告の必要がありません。

6月、8月、10月、1月の年4回払いにするか、6月に1回払いにして納税するようにします。

 
個人事業税
個人事業主に対して、その事業内容に応じて課税される税金で、都道府県に8月と11月の年2回、納めます。

3〜5%の税率で、確定申告している人は申告の必要がありません。

※ただし、事業所得が290万円までの個人事業主は支払う必要がなく、個人事業税を支払った場合には、経費として処理できます。

 
税金が支払えない!さあ、どうする!?
個人事業主にはさまざまな納税義務があり、仕事が順調でなかったり、家族やその他の内容によって、万が一納税ができない事態が発生した時には、「猶予制度」を利用できる可能性があります。
 
但し、それには認められる条件というものがあります。

 
「猶予制度」が、認められるのは?
自然災害・テロなどの人為的災害、盗難など、納税者やその家族に傷病が発生したとき、事業廃止に陥ったとき、または事業休止したとき、事業に著しい損失・損害を被った時、などが挙げられます。
 
猶予制度は、所轄の税務署に申請して、条件を満たしている場合のみ、申請が認可となるのですが、原則は1年以内に限った分割納付となります。
 
注意事項としてあるのが免除ではないという点です。

あくまで『猶予』なので、遅れてもかならず支払わなくてはいけません。

「個人が得?」「会社が得?」

例えばとしてですが、下記の内容のような場合は、個人のままのほうが得と考えてよさそうです。

 
●自分の取り分と利益の合計が(売上から利益を引いたもの)、年間400万円以上ない人。
 
●主要な取引先が「法人」ではなく「個人」の人。
 
●会社をつくったら、大きくしたい、上場させたいと特に望んでいない人。

 
このように上記3点に当てはまる場合は、個人のままのほうが得になります。

事業規模も売り上げも莫大なわけではないので、個人事業のほうがリスクは少ないです。

 


まとめ

個人事業主のメリット、デメリットについて、申告や、税金も含めてみてきました。

太陽光発電投資ついて、ここで少し考えてみます。

課税対象となる売り上げが1000万円以上あるということが、一つの壁とも言われているように、課税事業者になってしまうので、消費税8%(最低でも80万円)も納める必要がでてきてしまいます。

将来的に、いくつも基数を増やすことを考慮している場合においては、早期の段階で法人化がよいでしょう。

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